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1994-11-16
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2KB
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34 lines
511/512 WST00364 和田 光平 目の上のこぶ(江戸,尾張)
( 8) 94/03/13 14:15
目の上のこぶ(江戸,尾張)
地位や実力が上で,とにかく気に障るもの.これが無いと人間,成長も自浄努力も
しなくなります.大切なこぶと思うか,邪魔っけだと除去するかは,その人次第です.
「こぶとり爺さん」の話しを聞いた子供の頃,近所に普通に生活するこぶ爺さんが
いました.このお爺さんのこぶは,頬にぶら下がる感じのもので,おとぎ話しそのまま
でした.どうして,こぶを取って貰わないのだろう.失敗すると二つになるからかな?
と随分気になったものでした.
「宇治拾遺物語」に収録された,この昔話しを記憶されているでしょうか.頬にこぶ
のあるお爺さんが,ある夜,洞穴で雨宿りをしていると鬼の酒宴に出合います.根が踊
り好きのお爺さんは,見ているだけでは我慢出来なくなって,鬼と一緒に踊ります.
この踊りがたいそう鬼に気に入られた.鬼は,明日も来るようにとお爺さんのこぶを
人質に取ってしまいます.それを聞いた隣の頬にこぶのあるお爺さんが,真似をして
失敗し,こぶをふたつにされて帰るお話でした.こうしたお爺さんは,最近,とんと見
かけなくなりました.除去手術が盛んに行われているのでしょう.
煙たくて実力のある人材ほど重要なものはありません.平和な時代は除去したくても
いざ,強敵が現れた時には,これほど頼もしい味方はいないのです.
廉頗将軍と藺相如の物語を想起する時,実力伯仲する両雄が,手を取り合うことの
素晴らしさに感動します.それは凡そこんなお話でした.
廉頗将軍は趙の名将.諸国を破って功随一.秦を相手に善戦していた人でした.
その秦から先祖伝来の「和氏の璧」を見せろと理不尽な要求があります.使者に立った
藺相如が,怒髪天を衝く故事の大活躍をします.完璧の功績で,今度は藺相如が廉頗
将軍の上位に任命される人事が行われたのです.怒った彼は,口先だけの男が俺の上に
付くなど,許せないと相如を辱めようと勝負を挑みます.相如は逃げ回わり争いを避け
ます.今風に言えばリングに上がって来ないのです.とことん腑抜けな奴めと軽蔑して
いが,風聞で相如の真意を知る.両雄がいてこそ秦は趙を攻撃できない.相如は勇気が
無くて逃げているのでは無く,両虎相戦って秦の思う壺になるのを恐れているのだと.
感涙した廉頗将軍は肌をはだけて相如の前に出て私を笞打って欲しいと願い出ます.
「刎頸の交わり」を交わした二人の逸話です.
東海支社)和田 光平